骨粗しょう症

≪骨粗しょう症とは≫

骨粗しょう症は、骨強度の低下に伴い骨折しやすくなる骨の病気です。
これは骨の中がスカスカした状態になり骨がもろくなってしまうことに起因します。

骨粗しょう症が重度になると、軽く尻もちをついたり咳やくしゃみを繰り返すだけで背骨などの骨に骨折(脊椎圧迫骨折といいます)を起こす可能性があります。脊椎圧迫骨折が起こると円背(えんぱい)といって背骨が丸くなったり、身長が縮んだり、背中の痛みを伴ったりします。

転倒などによりいったん骨折を起こすとQOL(生活の質)が大きく損なわれる可能性があるため注意が必要です。

≪骨粗しょう症の原因は?≫

(原因その1)加齢

男性・女性の性別に関わらず年月と共に骨密度は低下する傾向にあります。特に女性の骨密度は18歳前後でピークに達し、40歳代半ばまではほぼ一定で経過しますが、 60歳前後から急速に低下しやすい事が分かっています。

我々の体内では新陳代謝(しんちんたいしゃ)といって、古い骨を壊すこと(骨吸収)と新しい骨を作ること(骨形成)が常に同時に行われています。このバランスがくずれ、骨吸収だけが過度に進んで骨形成がそれに追いつかなくなることで骨密度は低下します。

(原因その2)閉経

閉経期に伴う女性ホルモンの分泌の低下は急激な骨密度の低下をもたらし、同年代の男性に比べて骨密度が低くなる傾向にあります。

女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、骨の新陳代謝に際して骨吸収をゆるやかにして骨からカルシウムが溶けだすのを抑制する働きがあります。閉経に伴いエストロゲンが減ってしまうことで、骨吸収のスピードが過度に速まり、骨形成が追いつけずに結果として骨がもろくなってしまいます。

(原因その3)二次的要因

加齢に伴い起こる骨粗しょう症を原発性骨粗しょう症と呼ばれる一方で、内分泌疾患・関節リウマチ・糖尿病などの基礎疾患が原因で、これに伴い骨密度が低下します。

≪骨粗しょう症の検査方法≫

・骨密度の測定

double-energy X-ray absorptiometry

当院は、前腕の骨(橈骨)をDXA法(double-energy X-ray absorptiometry)にて測定する装置を用いています。約15秒程度で測定でき、痛みなども特にありません。
この方法は誤差が少なく、速く測定できるというメリットがあります。

レントゲン検査

主に腰椎(ようつい)といった背骨のレントゲン写真を撮ります。

骨梁(こつりょう)や骨棘(こつきょく)や骨の並び方(アライメント)などを評価します。

血液検査 尿検査

血液中の骨代謝マーカーなどを測定します。

またカルシウムやリンといった骨の生成に欠かせないものも検査します。

血液中の破骨細胞などの働きを評価することで、その方に適した治療方法が選択されます。

≪骨粗しょう症の診断≫

診断基準は「YAM値」というもので評価されます。

これは若年成人(20~44歳)の骨量の平均値です。

このYAM値が80%以上であれば問題ありませんが、70%未満では骨粗しょう症と診断されます。

≪骨粗しょう症の治療≫

最も大切なのは、しっかり食べて、しっかり運動することです。これは食事療法と運動療法と呼ばれます。食べるものとしては、カルシウムやビタミンDが多く含まれた食品が効果的です。さらに骨密度を保つためには薬物療法も効果的です。以前はビスフォスフォネート製剤の内服が一般的でしたが、近年はさらに注射によるものも広く使われるようになってきました。